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小壜少年[7]

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    あれから何年たっただろう

    僕はあの日、割れた壜の前で彼に酷く責め立てられ
    泣きながら 中には何も入ってなかった
    拾った時にはもう蓋が割れていたと訴えた

    ただ、綺麗な壜だったから持って帰った と

    落とした壜は
    偶然厚いガラスでできた蓋がそのまま残り
    その欠けた部分を見て
    それが証拠となって僕は罪を免れた

    あれから僕はもう海辺でものを拾うことはやめた


    あの後一度だけ彼を見た ことがある

    どこかの新聞だったか 失った最年少天才博士 という特集で

    彼の業績が長々と書かれていた

    そして最後に

    親友のために続けた研究が、

    あと一歩のところで失敗し

    親友を亡くしてしまった

    そのために
    もう、研究に対する意欲を失い、業界から引退したと

    あの日、感情的に僕を責めた彼が
    上品なキチンと身なりで まるで何も興味のないような顔で
    大きく載っている

    僕には難しく ほとんどまったく理解できず
    興味のない記事がかかれた その新聞を捨てようとした時
    ある一部分に目がとまった

    たった一行、たった一度、小さく出てていた名前


    僕の唯一知りたかった事


    彼の名前





    「セナ」





    僕はいつの間にかその名を声に出していた


    その度に広がる 甘美な響き…


    ambrosia-r * 小壜少年 * 05:57 * - * - * - -
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